絵は「描く行為」以外に、「世界に浸る」ための要素が重要
iPadPro9.7+PhotoShopSketchでの習作、進めている。
ちなみに、アナログ絵を描く時と、若干手順が違う。
別に意識的にそうしているわけではないが、デジタルにしかない「レイヤー」を活用するので、自然にアナログの時とは描き方が変わる。
PhotoShopSketchは、レイヤーの合成法は選べないので、透明シートを重ねて描いてるという状態でしかないけど、レイヤーがあるとないとでは全然、手順は変わってくる。
乗算とか焼き込みとか選べないのは、たまに不便に感じることもあるけど。
レイヤーの透明度は調整できるし、こういうもんと思えば十分、使える。
他のアプリを使えばレイヤーの合成法が選べるけど、しばらくはPhotoShopSketchで続けようと思う。
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ちよっとガキ過ぎたかな... #イラスト #ipadpro #illustration
久々に、長い時間デジタル絵に向かってみて、改めて思った。
絵は、描くという行為だけでは、成り立たない。
iPadで描くのは楽しいし省スペースでいいけど。どうも、なんかビミョーに物足らないのは、紙の摩擦音とか、画材の香りとかってのが無いからだな。
— 異界絵師 緋呂@かさこ塾フェスタ京都出展 (@HIRO_eshi) June 12, 2016
世界に浸る。
それが、大事だ。
五感全部+六感を動員する方が、世界に浸りやすい。
デジタル絵は、その点、伝わる感覚がアナログに比べて非常に少ないので、浸る、というところまで今、まだ、いけない。
昔、画材を全部処分してしまい、ほとんど手元に無かった頃。
パソコンを自分で組み立てたり、CPUを載せ替えたりするのが楽しかった頃。
デジタル彩色やってみた。
というか、もともとパソコンを買った時点で、挿絵として描いたモノクロ画に彩色してみたいなというのがあったので。
チマチマ貯めて、Painterを買った。
当時、バージョンは5.5。
この本を片手に、見よう見まねで使ってみた。
吉井宏のPainterアスレティクス (ART & DESIGNマスターシリーズ)
- 作者: 吉井宏
- 出版社/メーカー: アゴスト
- 発売日: 1999/01
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けれど。
絵そのものの熱がもう、ほとんど残ってなくて。
そんなに、やりこむところまで、いかなかった。
本を見てるのは楽しいし、Painterの画面を開くのも楽しかった。
写真を絵画風に変換するとか、今は無料のアプリでもそこそこできるけど。
当時は、そういうことも、高価なソフトの仕事で、それをいじってるのとかは、楽しかった。
絵なんて、自分で描かなくても、なんかこういう加工でそれらしくなっちゃうんだなあ~と、思いながら。
私が絵の世界に戻るきっかけは、画材店の前を通りすがった時に薫ってきた、油彩の匂い。
描く、という行為そのものではなく。
絵がまとう、空気だった。
絵具やオイルの香り。
鉛筆が画用紙をこする音。
紙のひっかかりを感じる、手先の触感。
何を描きたいとか、どう描きたいとか、そんなことは一切、思い浮かばず。
香りだけで、引き戻された。
デジタルイラストにも、画材の香りや音のシミュレーションが載ったら、もっと気分が浸れるような気がするなあ。