旧<緋呂の異界絵師通信>

2018.05 本拠地を新天地へ移しました

生まれ育った名古屋はかつての陶磁器産業隆盛地/老舗の歴史に学ぶ

生まれも育ちも名古屋市の私。

その名古屋は、昔から「ものづくりの街」だった。

トヨタという偉大な企業のおかげで自動車産業は盛ん。

でも、そもそも、もともと、ものづくりの街だったのだ。

トヨタは自動車産業にシフトする以前は、機屋(はたや)だった。

 

機屋って聞き慣れないかも知れない。

織(はた=布)の織り屋のことだ。

そこらへんは、こちらをご参照。

トヨタ産業技術記念館

 

 

名古屋で隆盛を極めた産業の中に、陶磁器輸出があった。 

 

陶磁器の老舗ブランドNoritake(ノリタケ)は、ノリタケさんが創業したからノリタケなのではなく、名古屋市則武という地名をとった企業。

創業者は、幕末の御用商人だった森村市左衛門という方。

ノリタケの歴史は、日本の洋食器の歴史...と、言われている。

 

 

詳しくは、ノリタケの公式サイトで。

株式会社ノリタケカンパニーリミテド

 

名古屋駅から徒歩10分くらいの則武新町に、ノリタケカンパニー運営の陶磁器のテーマパークともいえる「ノリタケの森」がある。

www.noritake.co.jp

 

名古屋駅近隣としては広大な面積の公園で、今も新しく開発工事が行われている。

ここで、陶磁器産業のことをいろいろ、学ぶことができる。

 

 

陶磁器と一口に言うのだが、ノリタケの製品は「ボーンチャイナ」という種類の磁器だ。

 

「陶器は土もの、磁器は石もの」と言われていて、原料が違う。

石ものである磁器の中に、ノリタケやナルミ、海外ならロイヤルコペンハーゲンといった有名ブランドが使っている「ボーンチャイナ」がある。

磁器原料に骨粉を混ぜた、乳白色で艶と光沢があり軽くて衝撃に強い焼き物。

 

パーク内のクラフトセンターでは、そのボーンチャイナの製造工程を見学できる。

実際に職人さんがお仕事されているところを、拝見できるようになっている。

複雑な置物を、どのようにして型取りし組み立てているかも見ることができ、とても勉強になる。

 

2階は、絵付けの行程。

様々な技法を見ることができる。

また、好きな製品を選んで絵付け体験もできる。

お皿は白地以外に、下絵があらかじめ描いてある塗り絵感覚でできるものも数種類用意されていた。

恐竜やネコなどのカワイイ置物も用意されていて、何度も楽しめるようになっている。

絵付け体験コーナー - 文化と出会い、森に憩う。 ノリタケの森

 

 

通りすがりにふらっと立ち寄って、私も一枚描いてきた。

https://www.instagram.com/p/BfQ6SjrFJDE/

I painted a dragon on a porcelain round dish. After firing a little color changes.・我在瓷圆盘上画了一条龙。发射后有点颜色变化。..磁器の丸皿に龍を描いた。焼成後は少し色が変わる。..#artwork #ceramics #togei #陶磁器 #龍 #ドラゴン #dragon #器 #お守り #魔除け #絵皿 #白磁 #ボーンチャイナ #焼成前 #異界絵師 #緋呂

 

 

クラフトセンターの3階と4階はミュージアムになっている。

 

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撮影OKの展示室で、人がいなくなった隙に試行錯誤して展示品と一緒のところを自撮り(笑)

 

 

陶器絵付けには「上絵付け」と「下絵付け」がある。

そこらへんは別に書くとするけれども。

私が今まで主に実験してきたやり方は、素焼きのところに絵付けし、上から釉薬をかける。

絵が釉薬の下に入るので「下絵付け」だ。

 

それに対して、釉薬の上に絵が載っているものを「上絵付け」という。

 

絵の具も技法も、下絵付けと上絵付けでは、様々に違う。

 

私。

どっちにも偏らず、両方やりたいのだ。

ほら、出たよ~、あれもこれもやりたい病が(笑)

 

下絵付け後、釉薬かけて本焼きし。

その上から、上絵付けで再彩色する。

上絵付けを、何度か焼き直す。

 

そうすると、

素地+絵付け+釉薬+上彩色+上彩色+時には金

ていう、多重の層になる。

 

手間暇も原価も跳ね上げるけども。

それだけ、深みのあるものになる。

技術も高める必要があるけれど。

なによりも、設備が重要になる。

 

一個だけ上絵付けを施したものを焼きたい...なんて時。

一個だけ、焼成温度の設定を変えたい...なんて時。

 

借り物の窯では、そんなことはできない。

 

たとえば、上に貼った龍の皿。

焼成後、更に彩色を加えて二度目の焼成を行い、更に金をのせてもう一回焼く。

なんてことが、できるのだ。

それがうちの作業場でできるようになる日も近い。

 

 

 


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