【伝言】異質なものを恐れる 己の弱さに対峙できない自己憎悪が元凶
親しんでいるものと異なる態を示すものを、人は無意識に恐れる。
それは生物としての本能であり、消すことはできない。
ただし、現代においては、その働きが弊害になることは多い。
理解できないもの、異質に思えるものに対峙した時不安になるのは、やむを得ない。
ただ、そこで攻撃に転じるのは、己の中に「そうせずにいられない弱さ」があるからである。
人は、まず、「弱さ」というものと正しくつきあう必要がある。
弱さとは悪ではなく、欠点でもなく、矯正すべきことでもない。
弱さのない人間は誰一人存在しない。
人が人の弱さをあげつらう時、その者が見ているのは常に、「己の中の弱さ」であり。
「それを忌み嫌わずにいられない間違った刷り込み」であり。
自己嫌悪、自己憎悪である。
弱さを忌むべき欠点と捉える者ほど、そこに囚われ、攻撃に転じる。
弱さを利用し不正を働こうとする者もまた、人の弱さを受け入れない。
人が恐れるのは、「異なるもの」ではなく、それに対峙した時に喚起される「自分の弱さ」に他ならぬ。
人の弱さなどは、小さな一要素にすぎぬ。
誰しも内包するものであり、恥でも欠点でもない。
恥や欠点となり得るのは、弱さを無自覚に武器とする姿勢であり。
たやすくその沼に落ち、何度も繰り返す己の在り方である。
あらゆる攻撃性の根にあるのは、自己憎悪であり。
それを認めることもできぬ弱さが、全てを狂わせていくのだ。