旧<緋呂の異界絵師通信>

2018.05 本拠地を新天地へ移しました

生まれた時の命題

世界の仕組みなんて、全く知らなくても、そもそも興味などカケラもなくても。

人は、普通の水準よりもずっとよい環境下で、手厚くされながら、生きていける。

そういう人が、実際に、いる。

 

その方はとっても素敵なかわいらしいご婦人で。

80歳を超えて、お一人で暮らしていて、おしゃべりがしたくて毎週、とある場にやってくる。

 

 

知り合った頃、驚いたのが、そのコトバ遣い。

ドラマ以外でこんなしゃべり方をする人が、実際にいるのか!と、本当に驚いた。

これぞ、生粋、深窓のご令嬢か…と。

それだけでなく、次々と、いろんな面で、驚きの連続だった。

 

 

私には、残念ながら、その方とお付き合いできるだけの度量がない…ということは、すぐにわかった。

 

 

生きていく手段に思い悩むことがない、という環境が、何を創り出すのか…と。

その一つの答えが、ここに、いる…と思うと。

ああ…もう、私にはとても、あり得ない。

 

無理無理無理。

 

 

あなたは、かわいらしい方です。

まことに、ピュア。

まさに、「白紙」。

 

本当に、かわいらしい。

愛らしい。

品がある。

 

 

ああ、本当に、こんな人が存在するのか。

 

私はある意味感動しながら。

 

とても、おつきあいは無理…と、毎回、思う。

 

  

生きていく道そのものが違う人が、この同じ国、同じ地域に生きている。

その人と、わずかな時間であっても同じ場に座る機会が、ある。

これが、この世の不思議でなくて、なんだろう。

 

 

 私はイヤです。

「できないの~」と言ってほとんど一切自分で作らず人にやってもらったものを、喜んで持ち帰るとか。

「あら、わたしにもできるかしら?」と首をかしげながら、全くヤル気も覚える気もないで、人の意見に全部お任せとか

 

「いいわね、あなたは、なんでも自分でおやりになれて」

「いろんなことがおできになるのね」

 

あなたが、やってない…やってこなかった、というだけです。

私は、飼われたままで飼われてることも知らないまま飼われているカナリアには、なれません。

 

 

小汚くてもいい。

生活の苦労を四苦八苦しながら切り抜ける日々でもいい。

ピュアでいられなくてもいいし、まっさらでなんかいたくもない。

 

ああ、私には、無理!

 

日々を一切気にしないで済むだけの資産……そこは、いささか、うらやましい。

だけど、爪と牙を去勢されたんじゃ…それは何とも埋め合わせできない。

 

 

 

世の中には、巨額の資産があろうとも爪と牙を絶えず磨いて(時には交換メンテすらして)生え抜きのままで生きていく人も、いる。

一体、何が違うのか…と。

思わずには、いられない。

 

 

それはもう。

 

「生まれた時の命題が違う」

 

としか。

言いようがない…気がする。

 

 

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スケッチ


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