途中で去った人の言葉は聞かなくて良い
「産まれた時からそのことに触れていて、息をするようにやっていた人にはかなわない。だから、自分もやっていたことがあるし、できるけれど、やめました」
そう言った人がいた。
その人は、とても多才な人だ(という風に見えたし、実際にそうだと友人は言っていた)
実際に、とある業界の中では活躍されていて、かなり知名度もあったとか。
私は全く無縁の業界のため、わからないけれど。
そんなに昔のことじゃなかったと思う。
今年に入ってからのはず。
その時、私は、その人の言葉に大いに納得した。
その人が去った世界に、今まさに突っ込んでいきはじめた途上だったのでなおさら。
そうだよな、実際、そういう人にはかなわないもんな…なんて。
思った。
それは、すごくハッキリ、覚えている。
今日、それにとてもよく似たことを、全く別の場で耳にした。
けれど、今日の私は、
「途中でその世界を去ったヤツの言葉など聞く意味ある?」
と、思った。
生まれた時の環境。
その世界のまっただ中に生まれて、そこで育って、その空気を吸って。
だから、細胞がその色になっている。
そんな人に、大人になってから触れた人間が、かなうわけがない。
確かに、そうかも知れない。
では、あれか?
今、世の中で活躍している第一線の人たちというのは、全員が、そんな風にして生まれた環境からベストだったと?
そんなわけがあるか。
かなう、かなわない。
そんなことを理由にして、そこから去ることができたのならば。
そもそも、その熱は、それくらいのものだった、ってことではないか。
その去った人が、実際にどれくらいのことができるまでになってからそう思ったのかは知らないけど。
どっちにしても、私には関係ない。
その人が去ったままでいようが、どこかで再燃してリトライしようが。
私には、関係ない話だ。
ほんの半年くらい(だと思う)の間に、ずいぶんと、感じ方が変わったな、というのは、こういう時に実感する。
あなたは、「息をするようにそれをやる」人と比べて、自分がそこにいる必要はないと判断し、その相手をサポートして活かすような道を選んだ。
でも、私はそうしない。
私は、むしろ、あなたのような人に、活かしてもらう道を往く。
もちろん、あなたが私を活かす手伝いをするか否かは、私には関係ない話。
あなたに、と言ってるわけではない。
「活かすことを選んでいる人」の全てを対象にしているから。
うーむ。
我ながら、偉そうなことを言うようになったもんだ。
だけど、実際、そうだと思うのだ。
生まれがどうこう、環境がどうこう。
そんなことを理由にして、やらない選択をする...というか「できる」ということは。
別に、そこじゃなくても生きる道がある、ということなのだから。
バックボーンも才能も乏しくたって、譲れないからしょうがない、っていう人間のことを、とやかく言ってもらいたくない。
もし、そんな風にして気をそがれてしまい凹んでしまう...なんて、半年前の私に似た人がいたら。
「去った人の言葉は聞かなくていい」て、言ってやろう。
あ、念のため書くけれど。
冒頭の言葉を言った人については、別に何も悪感情はありません。
面白い方だな、って今でも思っています。
その方に、作家として関わる機会がもしあれば、きっと刺激的だろうな、とも思ってます。
ただ、冒頭の言葉に対しての反応が、当時と今でまるで違うな、っていうだけの話です。
オンライントーク中にラクガキしてて、途中になってたのを描き足し。
爺様を描く機会はなぜか多い。