古典的な龍の型
実を言うと、私、龍の絵はそんなに得意とは言えないのだ。
そもそも、よく描くようになったのはつい最近のことで。
数年前までは、私は自分が龍を描く立場にはない、と思っていたので避けていた。
けれども、見えない世界の絵を描くという「立場」からしたら、龍を避けるってのは、あり得ないわけで。
避けていた頃の私の「その立場ではない」という思いは、ちょっと特殊な個別の事情の元で形成されたヘンな思い込みだったことも、自分で認識できたし。
そこから、よく描くようになった…と。
それでも、私には、人には説明しにくいけれど、どうしても無視できない感覚があって。
それは、「今、古今存在している龍画に描かれている姿は、なんか違う」という感覚。
どんな名画とされる素晴らしい絵を見ても、その感覚がぬぐえない。
龍って、これ?
これ、龍?
どうしても、そう思える。
もちろん、自分が描いている龍も。
だから、なかなか前面に押し出す気になれなかった。
ただ、一方では「一般的に龍として認識されやすい姿に描く、ということも、大切だ」とも思っていて。
すでに「龍とはこういう姿」として認知されているフォルム…というのは、それ自体に力がある。
印とか、型とかいうようなものに近い。
目にするだけで、ある一定の力を発動させることができる…というような。
「呪(しゅ)」の一種と言えるだろうか。
それを踏まえて。
私自身がもやもやしている「龍ってこういうの?」という感覚は、一体何をどうしたらピッタリくるものになるのか、まったく見えてこないこともあって。
とにかく、認識される姿を優先して、描いている。
それが、現在地。
最近、古典的表現で描かれた龍画をもう一度研究しなおしてみようかな…という気持ちになった。
自分の独自表現もいいのだけど。
前述したように、「すでに一定の型がある」ものは、その型を踏襲することで発動できるエネルギーが存在する。
一般的に人に受け入れられやすい型、というのは、発動させる力を大きくすることができるので。
やはり、それを通らないという手は、ないだろう。
てなことで。
少々、いつもと違った筆運びをしてみたのが、これ。
龍絵皿2この上に釉薬かけるんだが色悩み中#dragon #龍 #togei #artwork
龍絵皿この上に釉薬かけるんだが色悩み中#dragon #龍 #togei #artwork
他人が見て、いつもと違うと思うかどうかは関係なく。
自分の意識が、どういうところにあるか…というのが、肝心。
何か資料を見て描いたわけじゃないので、古典を踏襲したと言いがたい、単なる自分の手のクセだけで乗り切っているところも多々あるが。
まあ、しばらく、空き時間には古典的な龍のフォルムというのをじっくり見直してみるようにしてみるつもりだ。
(というのも、そこに立ち返ってやり直してみないと乗り越えられない感覚が、今、とても、あるのだ……)
【イベント情報】 本陣工房 陶展 出展します
会期:2017年2月9日~2月15日
時間:11:00~19:00(2月15日は13:30閉場)
会場:ギャラリーチカシン
【陶芸作品展示のお知らせ】2/9~15まで名古屋栄地下街ギャラリーにて陶芸作品展示します - 緋呂の異界絵師通信
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