加賀屋流儀という日本一の接客について書かれた本によって得た「異世界」
「プロが選ぶ日本のホテル・旅館ベスト100」で、35年間総合1位に君臨しているという、和倉温泉の加賀屋。
それについて書かれた本を読んだ。
PHP文庫から新版が出ているようなので、買う人はこっちがいいのかも。
私は知らずに、単行本を買った。
本を読んで、いくつか疑問に思ったことはある。
が、今回はテーマを「旅行における宿屋選び」という点に絞って書いてみる。
私にとって、旅行における宿泊先の選択は、優先順位が低い。
というのも、旅に出るには目的があり、宿泊する必要があれば宿を探すという順番であるがゆえ、宿に求めるのは
1.目的地との距離または行きやすさ
2.費用
3.設備(禁煙かシングルか…など)
ドミトリーでも構わないので、1と2が優先される。
私の宿選びと加賀屋は、真っ向対立するところに位置している。
特定の宿泊先を訪れることが目的で旅行に出る…なんて。
未だかつて、私の選択肢に入ってきたことがない。
思い返せば、学生の頃の友人には、そういう趣向を持った人達がいたのを思い出す。
「○○ホテルの△△ルームに泊まって、ルームサービスでブランチする」
ことを目的に、そこへ行こう…と。
そういう誘いを受けたことがあったけど、とんでもないと一瞬で断った。
私の価値観には、そういう趣向は過去も未来も、入ってきたことがない。
誰かに会うために、その人がいる土地へ行く。
何か特定の場所へ(神社とか、美術館とか)行く。
出かける目的はこの二つ以外、ない。
食事の優先度も低いので、土地の食材が云々とかも、ホント、どうでもいい。
ついでに、そういうものをいただく機会を持てるようなら、あってもいい…っていう程度だ。
なので、この本に書かれていることは、私には、「宿泊先」としての枠組で考えた時、全く理解できない世界だった。
この本で得たのは、
「多くの人がこの宿に泊まることを目的に、この場所へ出向くらしい」という情報
だ。
これは、私にとっては、まさしく「異世界」の出来事にも等しい。
確かに加賀屋という名前くらいは、私でも知っていた。
何がそこまで有名にさせているのか、ということの一端は、この本で得られた。
…そういう、感触だ。
ただ、一度ここに泊まってみる経験をするのも、悪くないかな…と思った。
私のような、客室係の接客を求めない、放置しておいてもらいたい派の人間が、これだけの人を虜にする加賀屋流儀を実際に体験して、その感想がどう変わるか。
それは、いささか、楽しみだ。
そして、もう一つ「世界を作る」というテーマで、この本について別記事を書いてみることにして、一旦締める。