緋呂の異界絵師通信

ミエナイセカイ ハ カサナッテル

「どんな人の発信でも、その判断は自分でしっかり吟味する必要がある」その理由となる一例

自分の感情は嘘をつかないから、一番信頼できるセンサーだ

 

と言っていた人がいた。

彼女は「人の話を聞かない/聞けない」がヒトガタになったような人だった。

それを自分でも認めていた。

 

相手の言葉を聞いていても、本筋でないところで一カ所ひっかかると、そこに固執してしまい、結局話の全体を聞いてもいないままになり。

恐ろしいことに、その一言しか記憶に残らないため、「その時その場でその人が発言したこと」が、その一言だけしかなかったことになってしまう。

 

そして、更に恐ろしいことに。

「ひっかかった一言」を憶えているのではなく。

「その一言によって自分の中に喚起された自分の感情」

のことしか、憶えていないのだ。

 

それを元に、彼女にとってのその人像が、作られる。

 

彼女にとっては、それが、そこで起きた事実であり、真実なのだ。

 

 

言葉は修飾できるし、嘘もつける。

だから、人の言葉は信じない。

でも自分の中に沸いた感情は嘘をつかない。

だから、信じるのは、それだけ。

 

 

その時その場でその言葉を発した時の発言者が、どういう文脈でどういう意図でそれを言ったか。

そんなことは、おかまいなし。

 

そもそも本筋の話ではないところにひっかかっているので。

後から、その発言者にその確認を求めたところで、「そんな話してないけど?」という反応になるばかり。

 

けれど、その喚起された感情は本物で、その引き金になったのはその人の言葉に間違いはないので。

彼女の中では、「あの人は都合の悪いことは忘れる」という図式ができあがる。

 

 

わかります?

この、恐ろしさ。

 

そんな間違った記憶を元に、彼女はあちこちで、その発言者の話をするのです。

していたのです。

私も、そういう図式が見えてくるまでは、ずいぶん、それに引っ張り回されました。

 

 

彼女は決して嘘つきではないので。

むしろ、そういう一面を除いて、普通に1対1で付き合う上では、とても感受性の高い、ピュアで魅力的な人でした。 

私自身が、彼女のその「自分の中にしかない事実と真実」による虚像に変換されて痛い目にあうまでは。

 

 

 

最近、私は、自分が思っている以上に「信頼貯金」の額が積もっているらしい...と、気がつきました。

人から言われていても、あまりピンと来なかったのだけど。

様々な「起きてきた出来事」をつなぎ合わせて全体を眺めてみると。

「えー?!」と、思うような状況で。

その貯蓄の利子とでもいうような恩恵を、驚くようなことでいただくようになってきて。

 

その事自体はとてもありがたくて、嬉しいのです。

 

ただ、それは同時に、自分の言動には責任が発生する...ということを、イヤでも意識することでもある。

 

 

インフルエンサーと呼ばれる人達は、この何百倍もの反響を受けながら、発信を続けているのだな...と。

思うわけです。

 

そんな時思い出す。冒頭の人。

 

人を巻き込む力がすごく強い人だったので、彼女の存在に触れた人は皆、多かれ少なかれ、余波を受けていました。

私の知る限りでは、人生変わった人もいた。

一時的な脱線だったのかも知れないけれど。

 

自分の中では事実で真実。

だから、何の疑いもなく、ストレートに、全力で、自分の思うことを人に向けてぶつけ続ける。

そういう人。

 

 

 

今、何十万人というフォロワーを抱えていて、一言で多くの人が動くような立場にいる人達。

その中に、もしかしたら、私が出会った彼女のように

「事実も真実も、本人の中にしかない」

ことを、事実や真実であったかのように発信している人がいないとは......限らない。

私が出会った彼女は、嘘つきだったのではありません。

彼女自身がそれを事実や真実であると、信じていたので。

 

 

だからね。

発言力の大きな人が言っていることも、ちゃんと自分で本当にそうかどうか考えてから判断していかなきゃ。

虚構を話していると自覚があれば、まだ、いいけども。

そうじゃないことも、あるかもだから。

 

 

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