緋呂の異界絵師通信

ミエナイセカイ ハ カサナッテル

結局は、「原点はどこにある」を常に考える立ち位置に戻るだけ~ライブペイント所感

大阪で、30分の持ち時間をいただいて、ライブペイントさせていただきました。

仕上がったのは、こちら。

 

終了直後に、井本貴美子さんが撮影してくださいました。

https://www.instagram.com/p/Bax49dmFfu1/

本日のライブペイント作品#龍 #ライブペイント #異界絵師 #dragon #art #illustration #墨絵 #sumi

 

 

前後の余裕を見て20分で納めるよう考えていたけれど。

実際には、持ち時間大幅に余った感じ。

1枚しか紙を持って行かなかったので、もう一枚持って行けば、二枚目がやれたかも知れないな、っていうくらい残った感じでした。

 

今回使ったのは、和紙ではありません。

おそらく原料は再生パルプ。

ただ、機械ではあるけど一枚ずつ漉いた紙で、耳がちゃんとあるため、ぱっと見は和紙っぽい紙です。

以前、とある画材店の店先で袋に入って売られていたものを、袋ごと買ったもの。

なかなか不思議な質感のある紙で、好きな紙です。

 

 

和紙ではないので、和紙独特の滲みは出ません。

それを補うために、霧吹きで何カ所か、水を打ってから描きました。

真水を少量、吹き付けて。

その後、1,2滴墨汁を垂らしたごくごく薄い墨を吹いています。

 

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撮影:中田幸三さん

 

 

まあ、これは好みの問題です。

滲みが適度に出るところと、水を打たず滲みの出ないところが一枚の紙に混在する...というカオスな状況を、私がとても、気に入っているのです。

この絵で言うと、尻尾のあたりは滲みが出ません。

顔が来たあたりは、かなり水含ませているので、たぶんこの後もっと滲みが出て、違う顔になってると思います。

終わった後すぐに梱包してしまったので、その後の変化は私もまだ見ていません。

 

 

 

すごく体調が悪かったのだけど。

この時間は、全然平気でした。

友人が観覧してくれましたが、後でそのことを伝えたら、全く気づかなかったと驚いてました。

私としては、「よし!」てなもんです。

 

でも。

あれだけ不調でも、絵はできる。

それも、実際にわかって、よかったです。

だからって普段から無理するつもりはないけれどね。

 

 

今回のライブペイントでは最初から、墨しか使わないつもりでした。

名古屋では、パステルも併用しての合わせ技で。

色抜きの効果など、けっこう劇的な変化を見せることができる手法なので、お客様受けするのです。

それを、今回は、最初から外しました。

 

タイトルも「墨絵ライブパフォーマンス秋の陣」にした。

 

墨しか使わない。

それは、私にはある種の「原点回帰」でした。

 

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撮影:中田幸三さん

 

 

 

パステルで天使を描くようになる、もっとずっとずっと遙か昔。

まだデジタルで絵を描くなんてこと想像してなかった、パソコンがなかった時代。

墨の匂いはいつも、身近にありました。

水墨画を描いてたわけではないけど。

それに近いことはやっていた。

使っていた紙がケント紙で、Gペンと面相筆一本。

その時代が私の原点。

 

その頃から、下絵があってないような状態で描いていて。

Gペンで描くのに下絵をほぼ無視して線が走って行くのを見て、一緒に創作していた友人達はいつも、「見てると冷や汗が出る」と言ってました。

結果オーライだから、いいのです。

もちろん、時には修復できないようなドツボにはまることもありましたが。

まあ、それはそれ。

 

そもそも、アバウトで勢い先行、というのは、私のスタイルだったのです。

 

 

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撮影:笠谷和也さん

 

 

パステルを使っててもそのスタイル自体は変わりません。

けれど、なんというか...

「こじんまりする」

ていう感覚は、どうしても、ありました。

消しゴムで色抜きしていくのは、私自身もすごく楽しいのです。

劇的な効果が出るし、発色も美しい。

派手な絵作りができるから、見栄えもします。

 

でも。

それでも。

どこか、こじんまりした感じになる。

 

不満というわけではないけど。

 

龍は、やっぱり違うよな...と。

思うことがよくありました。

 

昨年名古屋で描いたライブペイントではパステル中心に描いていて。

それはそれで、まあ、アリだなと今も思っています。

 

しかしね。

北斎爺ちゃんの一撃を食らった後で、この墨絵を描いて。

やっぱり、実感しました。

 

龍にパステルは、ちょっと違う。

 

もうそれはやらない、という意味ではないけど。

 

パステルだと楽に、いとも簡単にできてしまう、ある種の「ごまかし」があります。

それを龍に使うのが、今私には、許せない。

...たぶん、そういうこと。

 

 

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撮影:中田幸三さん

 

 

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撮影:中田幸三さん

 

 

朱と金。

今回使ってないけど、銀の墨もあります。

また、絵墨といって、赤みや青み、緑、黄の発色を出す墨もあります。 

色が入れたいなら、顔彩がある。

 

やはり、龍を描く時は、そういう「和の画材」を使うべきだな、と。

 

 

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撮影:襟田麻衣さん

 

 

墨というのは不思議な特色もあって。

乾燥させないで上から描き足す時と、乾燥させた上から描き足す時とで、全く違う効果が出ます。

また、油分を含む液体を使って「弾く」描き方もある。

墨は、黒だけど、黒じゃない。

一本で多彩な色が出せるのです。

言ってみれば、ピアノのような存在。

 

 

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撮影:中田幸三さん

 

 

最初から、墨だけしか使わないと決めていた今回のライブペイントでしたが。

それに臨む前に北斎爺ちゃんに一撃もらってきたのは、本当、よい順序だったなと。

 

小手先の派手な効果に逃げがちになるパステルは、龍にはしばらく使いません。

 

北斎爺ちゃんからもらってきた、あの造形。

あれは、やっぱり、線の勝負。

適当に描いてたら、ダメなんです。

 

 

何でもアリなのが私の絵だけど。

筋は通していきたい。

 

今回は、当初思っていた以上の、原点回帰の旅でした。

 

 


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