絨毯を省みる
(一般的なライン以上に)見る力がある者は、見られる力も高いのだ。
心するがよい。
ニーチェの有名な一説。
怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。
おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。
あるいは、この一説。
事実というものは存在しない。存在するのは解釈だけである。
おまえは何を信じる者か?
何を己の信条として採用する者か?
おまえの見ているものは、おまえにとって都合のよい解釈にすぎない。
おまえの信じているものは、おまえにとって都合のよい解釈にすぎない。
それでも、おまえは己の信じるものを信じるよりほかに、術はないのだ。
自分の手が触れることができるものからは、触れられることもできる。
触れた瞬間に汚染するものから、どのようにして己を護るのか。
目に入った瞬間に、脳に焼き付けられる。
耳に入った瞬間に、全身に振動が巡る。
しかし。
なによりも強く侵すものは、香りである。
存在を認知する以前に、それは脳を侵す。
主らの足元の絨毯に何が織り込まれているのか。
今一度、省みるがよい。
はらいたまえきよめたまえとかしこみかしこみまおす