旧<緋呂の異界絵師通信>

2018.05 本拠地を新天地へ移しました

天然那智黒石の丸玉から手で掘り出された硯

那智の滝に行く前に、「黒石の硯、手頃なのがあればほしいな」って、チラッと、思ったんです。

 

行ってみると、参道沿いのお店は、各店、いろんな硯が並んでる。

 

うわ~、やっぱ欲しいな~。

と、思いながら、長い階段を、お店をチラチラしながら上がって行きまして。

値札を見ながら、5千円くらいまでのなら、いいかな…なんてね。

思ってたんです。

 

 

階段を上がりきる手前にあった、一軒のお店。

もう目の前に大社があるし…普通なら、参拝の後にしようって思って、横目にしながら一旦素通り…するところなんですが。

 

その時は、ふら~っと、店に入ってっちゃって。

 

そしたら、奥にいらっしゃったご主人が、硯を試し摺りさせてくれると。

 

 

おおぅ…。

いや、でも参拝前だし……

いや、でも、ちょっとだけ。

 

 

そしたら。

なんかもう。

 

「なにこれ~?!」

 

なにこれ、私の知ってる硯と全然違う!

昔使ってたのは、かなりモノのよい硯だって聞いてたけど、そんなの比べものにならない。

今使ってるのなんて、練習用の廉価品だから、もう、お話しならない!

 

廉価品の硯使ってるから、今回、せっかく那智まで行くし、手頃なのないかな…って、思ったんだけど。

 

いやいやいや……

 

 

聞けば。

丸石から、このお店の店頭にある機械で、ご主人が手彫りした硯だと。

 

「うちにある硯でも全部がこうというわけではないし、わたしが彫った硯でも、全部がこうというわけではない」

 

という。

 

お値段、聞いてみた。

3万円超えてた。

いや、決して、この手の道具で高いほうではないよ。

けれど…さすがにね(^_^;)

 

しかも、その子は、ちょっと…大きい。

私は今、どっちかというと、小さめのが欲しかったのだ。

大きい作品は、どっちみち、墨汁を使ってしまうし。

墨池っていう器に入れちゃうから、硯は不要。

それよりも、イベント行く時とかに持っていきたいとか、ちょっと何か書きたい時とかに使いたくて。

どっちかというと、「癒し目的」みたいなところがある。

 

それには、その試し摺りさせてもらった硯は、大きい。

 

 

すると、ご主人、察したようで。

 

「同じ、丸石から彫った小さいのありますよ」

って。

並んでいるのを、教えてくれました。

 

手に持ってみてください…と言われて、持たせていただき。

その時に、お値段をチェック。

大きいのよりは手頃だけど……予算大幅オーバーには、違いない。

 

私の予算では、丸石から作ったものは、買えない。

成形品でないと。

成形品というのは、黒石を粉末にしたものを樹脂で練り込んで型に流し込んで作る合成品のこと。

 

成形品を、ここで買う意味ある?

 

 

しばらく、ご主人と話をして…。

一旦、お店を出ました。

 

「他の店で、丸石から彫ったものを出してもらって、試し摺りしてみてください」

と、ご主人。

 

石が本気で好きで、硯好きなんだな…っていうのが、すごくよくわかる方でした。

 

 

お言葉に甘えて…他でも見る?

 

 

参拝の合間に、Facebookで、迷ってる~って投稿したら。

友人達が、焚きつけること(笑)

いい友人たちです。

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しかし、もし今回買うとしたら、他の店ではない…って、もう決めてた。

買うor買わない、の二択。

 

どっちみち、その店の前を通って戻るので。

店の前まで来て決めよう~って思いまして。

 

そして、結局、お買い上げ~

 

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もちろん、試し摺りさせていただいた上で買いました。

 

ご主人いわく

「石は波動があるから、同じような大きさやカタチでも、他のの方が合うかもしれない」

っていうことで、他に似た大きさのも、試しました。

 

 

ここんとこ、iMac買ったり、新しいペンタブ買ったり、他にもいろいろ出費が多かったので、正直これは贅沢かな…って思ったんだけど。

でも、ダンナ氏も「もう来れないかもよ」って言うので。

買っちゃった。

 

 

市場価格がどうとか、他で買ったら値段はこうとか。

そんなの、関係ありません。

 

「誰から買うか」ってのが、大事。

 

特に、こういう、嗜好品に近いような道具は。

そこに愛着が持てるかどうか…って、これを「どこで買ったか」

もっと言うなら、「誰から買ったか…誰が作ったか」ってのが、大事。

 

 

硯だけでなく、大事なことを、ここで学んだ気がします。

 

神絵や龍画も、この子で摺った墨で描こう。

初めて、知ったよ。

淡墨でも滲まなくて、ツブツブ感が出ない墨は、硯によるんだって。

なんか、護符も書けそうだ……。

 

皇室献上硯をつくる「山口光峯堂」 | Revalue Nippon


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