旧<緋呂の異界絵師通信>

2018.05 本拠地を新天地へ移しました

あれもこれも手を出して、でもどれもハンパでダメなんです…というあなたへ

そんなのカンケーねえ!

と、断言します。

 

あれこれ手を出してはやめ、その繰り返しで何も身についてない、ダメなヤツめ!

って、誰かに言われましたか?

誰が言いましたか?

親? 教師? 友達? それとも、自分?

 

いやいやいや。

ダメじゃ、ありませんよ。

 

あれもこれも、手を出してみたいなと思ったけど、どれも思ってるだけでやってみもしなかった。

そっちの方が、ずっと、情けない。

 

 

私、今までホントに、いろんなことやってきました。

手仕事系は、だいたい手を出してきた。

特殊な機材や設備が必要なこと以外なら。

 

そして、どれも、ちょっとやってみると気が済んで、大して熟練してないし身についてもいないうちに、飽きてやめてきた。

 

何も続かない、と、思ってたこともあります。

 

 

しかし!

今になって、その過去が、活きてきてます。

 

作品をブラッシュアップするためのアイデアをもらった時。

「こういう素材入れてみたら?」

という提案を受けることがあります。

それも、かなり、突飛に思えるくらいの異素材。

 

たとえば、陶芸を「この道20年、これ一筋」とかでやってきた人なら、まず、そんなもの組み合わせようなんて思わないだろうね、という異素材。

それを、二種類ではなく、それ以上の掛け合わせを要求される。

 

そんなことが、私には、よく起こる。

もちろん、そうそうカンタンにはいかないので、そこから試行錯誤が長く続くわけです。

今、まさに、その途上だったりもします。

 

出てくる素材は、ほとんど、一度は触れたことがある。

おかげで、言われたことがハッキリ、イメージできるのです。

使ってみたことがあるから、どういうところが活かせて、どういうところは問題になるかも、わかる。

「は?それ何ですか?」

というところから話を始めなきゃならないかも知れないけど、そのステップは過去に終えているから、話が早い。

 

 

一つ一つはハンパかも知れないけど。

掛け合わせて、積み重ねれば、他にないものを編み出す可能性がある。

 

それは、一本道を真っ直ぐ…な人が手に入れられなかった多様性です。

 

 

財産なんだよ。

あれこれと、やり散らかしてきた、その「ハンパでダメ」な過去は、財産。

 

 

そしてね。

やってきた「どれもハンパ」ないろんなコト。

よーーーーーく、注意して吟味してみると。

どこかに、必ず、共通しているところがあるものです。

 

その要素を、注意深く見つけることです。

 

見つかったら、それを一本の糸にして、ビーズをつなぐように、連結してみましょう。

 

必ず、共通項目があります。

 

それが、あなたの「やりたいこと」の糸口です。

 

 

自分をサンプルに出すのが一番手っ取り早いので、また私の話になりますが。

 

今までいろいろ作る系のことに手を出してきて、たくさんの手法や素材を使ってきたけれど。

常に、最終的に、それらの素材で作ろうとし始めるモノが、あるのです。

それは、「灯り」。

 

今、「あかり玉」っていう、そのものズバリなものを作ってますが。

そもそもが、私は、何をやっても最後には照明を作ろうとし始めているのです。

 

切り絵、やりました。

行灯作りました。

 

刺繍も好きでした。

シェード作ろうと思って、肩こりに負けました。

 

ビーズ細工にハマリました。

ランプシェードを作ろうとして、飽きました。

 

ワイヤーアートにも凝りました。

電球をワイヤーで編み込もうとして、うまくいかなくて放置してます。

 

ここまでは、だいたい、「大きなものを作ろうとしすぎ」たのが敗因。

手のひらに載るくらいのカワイイのを作ろうとしてたら、どうにか作ってから飽きたって言う程度にはやれたと思います。

いかんせん、どうしても大きいもの作りたくなる性分で。

結局は作りきれずに飽きるという。

 

 

墨絵、好きです。

障子紙に描いて透過光で浮かび上がる…というのを、今も実験中です。

 

陶芸も、10年くらい前に始めて工房に通うことになってすぐ、失敗しました。

さすがに技術が足らなすぎたね、これは今取り組んでいるから、よくわかる。

 

焼き絵、和紙を焼いてシェード作りました。

 

平面の絵ですらも、結局は「光を描く」を、やっている。

以前、先輩画家さんに、「あなたは、描かないことで光を描く人だね」なんてことも、言われました。

 

 

だから、ひょうたんという素材を得て、今までやってきた他の素材が全部、そこに連結してきたことも、全く不思議ではなく、むしろ当然に思える。

 

どれもこれも、「その素材/手法一点だけでは話にならないレベル」だけど。

掛け合わせることで、全然別のモノを作ることが可能になる。

 

 

人から「何やってもハンパ」って言われてきた今までの足跡も、きっと、何か一本の糸で繋げることができるはずです。

 

糸は、意図。

 

あなたが、何をどう実現していきたいか…という、意図を。

過去の足跡を糸でつなぐことで、見えてくるはず。

 

 

たくさん手を出してきた、それを「ハンパでダメ」なままにしておくのか。

資源として組み立て直せるか。

 

そこは、あなた次第。

 

でも、決して、ダメでも無駄でも、ないですよ。

活かしましょう。

 

それが、「必要なものはすでに、自分の中にある」ということです。

 

 

 

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こちら、昔作った切り絵。

サイズはB4。

伊勢型紙の柿渋紙使用。

切り絵は大好きだったけど、今はもう、カッターの刃先が見えにくくて……(^_^;)

でも楽しいんだよね~。

 

 


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