旧<緋呂の異界絵師通信>

2018.05 本拠地を新天地へ移しました

命がけの舞台は、やっぱり生で見てこそ! 踊る人と異界絵師、そのご縁のお話し

ダンサーへのボディペイント。

イベントに来てくださったお客様へのボディペイントとは少し違う意味合いを持つ…ということを、前回書きました。

 

art-hiro-b.hatenablog.jp

 

 

その時、改めて思い出したのだけど。

 

全く存じ上げない、完全に初めての方が、ブログに載せていた絵を見てくださって、初回コンタクトでいきなりご依頼をくださった…ということが、あったのです。

さすがに、すごく驚きました。

問い合わせでもなく、打診でもない。

それも、価格も聞いてない状況で。

 

実は、そのご依頼主さまも、ダンサーだったのですよ。

 

その方は、ご自身の創作舞踊団の代表でもあり、舞台にずっと立ち続けてきた生粋の踊り子さん。

ご自分の舞踊団で、ゼロから舞台を作り上げている…その演目が、「古事記」で。

その公演プログラムの中のイラストに使いたい、という、ご要望。

 

遠方の方だったので、メールのやり取りで打ち合わせたのだけど。

どれくらいの使われ方になるのか、その段階では未定だ…という感じで。

 

私は、「挿絵用」などの括りではなくて、正規の神絵として、価格をお伝えしました。

 

そしたら、なんと。

全く一切の交渉もなく、サクッと、本受注をいただいたのです。

(まあ、値引き交渉には応じない方針なので…よかったのだけど)

 

描く神は、イザナギイザナミ

 

描いてみたら……

絵は、2枚、できてしまった(^_^;)

陰と陽の絵として。

art-hiro.com

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おそるおそる、両方の画像をお送りして、「お気に召した方のどちらかを」と打診してみまして。

お買い上げいただいたのは、陽の絵。

 

黄泉津大神を踊るのでそちらも魅力的だったけど、今回はプログラムに使うという目的があるので「好まれそうな方」にします…ということでした。

 

 

 

その公演は、2日間に渡る舞台で、両日とも演目が違う「古事記」でした。

1日目は、天地開闢(てんちかいびゃく)…イザナギイザナミさまの物語。

2日目は、天岩戸~ヤマタノオロチ退治。

 

この公演は、本当に、素晴らしかったです。

 

後日、歌舞伎の大御所の某御方が天照大神を演じた、高いチケットの公演に行ったのですが。

途中で帰ろうかと思いました。

その役者さんのファンの方なら、きらびやかな衣装などもあって楽しめたのでしょうけれど。

あいにく私は、お名前は存じ上げているものの、興味のある方でもなかった。

演目が古事記だったから、遠くまで出かけてみたのです。

 

その前に見た、小さな舞踊団の方達の舞台の方が、超有名な方の舞台よりも、何倍も素晴らしかった。

 

熱気がない舞台なんて。

神は怒らないだろうけど、私は怒るよ、っていうくらいでした。

 

知名度や地位なんて、問題じゃない。

 

同時に、あの舞台を作り上げた方に見いだしていただいて、私はなんて幸運だったんだろう、って思いました。

 

 

 

見知らぬ方が、絵だけ見てご依頼下さったという、初めての大きな経験が、踊る方だった。

 

小さなイベントとはいえ、舞台に立つことに命を賭けているボディに初めて描いたのも、踊る方だった。

 

日本の神様には、アメノウズメという、芸能の神がいます。

岩戸を閉ざして引きこもってしまった天照大神に出てきてもらうために、閉ざされた扉の前で踊り狂い、神々の宴を沸かせました。

天照大神が歓声が気になって少し岩戸を開いたので、外に連れ出され、この世には光が戻りました…と。

そんなエピソード。

 

 

不思議です。

天照大神の絵を描こうとしていた時、なかなか絵がカタチにならなくて行ったり来たりしてました。

その時に、三重県にあるとある神社から、そりゃあもう強烈猛烈に来なさいアピールがかかりまして。

そこのご祭神も知らないで、行きました。

そしたら、ウズメ様がいらっしゃって。

 

そうか、天照大神を描く前に、岩戸開きをしなきゃならないのだな、と思ってね。

描きましたよ。

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そんな感じで…。

私は、なんだか、踊る人とのご縁があるのかも、知れません。

 

 

 

ameblo.jp

 

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フライヤーの裏面。

当日配布されたプログラムにも、使っていただきました。 

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DVDで、大きな画面のテレビで見ても…やっぱり、当日のライブで見た舞台の熱は画面では伝わりきらないですね。

生で見ないと。

みなさんの、命がけの舞台。

映像として手元にあれば、いつでも好きな時に何回でも見られるけど。

一回きり、その場に居合わせた者にしか共有できないところに、本当の舞台がある…って、思ったのでした。

 

 

 


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