小林憲明さん「ダキシメルオモイ」展を見て
その時、同時開催だったのが、小林憲明さん「ダキシメルオモイ」展。
会場には、今まで報道された多くの記事のコピーがありました。
なんというか………
一点一点の絵を、それだけで見たら、きっと、「うん、上手い人だね」と思ったかも知れないけれど、それで終わったかも知れない。
こう書いたら、すごく失礼なんだけど。
でも、そういう感じ。
それを、たくさん、一度に並べることによって、なんとも言えない「場の力」が、生まれてました。
単に、写真を元にして描いてるのではない。
個々の写真から、「その親子(家族)の、もっともふさわしいカタチ」に再構成して描かれている、たくさんの油絵。
ざっくりした麻布に描かれた、透かして見ると空気に溶け込みそうな人々の姿。
1000を描くまで続ける、と、話をされていました。
小林さんは、会社員の傍ら、夜が明ける前に起きて出勤するまでの時間に、描いているのだそうです。
目標までに、30年くらいかかるかも知れない、と。
それでも、やるのだ、と。
小林さんのブログで、その強い思いを、感じとってください。
それを、私がこれ以上書くのは、ちょっと違うので。
展示を拝見して、とにかく、強く感じたこと。
人間って、儚い。
そして、強い。
人間、という存在そのものが、一つ一つ、灯火だ。
「愛」って言葉を、軽く使うの、好きじゃない。
今ドキのふわふわしたスピリチュアルな人達や、ふわふわした心理学(と名乗っている)人達にはじまる、なんでもとりあえず愛って言っとけばいい…みたいに見えてしまう、軽く使われている言葉だけど。
そういうもんじゃ、ないよね。
私は人間ってものが好きだ。
愛とか共感とか、寄り添うとか、そういうのは苦手だ。
そんなちっちゃいところに、その存在を、押し込めないでもらいたい。
小林さんの、1000組の絵が完成するのを、見られるだろうか。
30年生き延びて、ぜひ、見たいと思う。