草薙と叢雲と熱田大神
前の記事で、草薙剣の挿絵のご案内をいたしました。
【やおよろず】の文章担当さんが書いてくださった解説をご一読いただいた、という前提で、以後進めます。
まだの方は、こちらをまずごらんください。
ご存じの方も多いかと思いますが、草薙剣は、名古屋市にある熱田神宮のご神体とされています。
八坂勾玉、八咫鏡、そしてこの草薙剣で、皇室三種の神器とされています。
この草薙剣は、倭建命(ヤマトタケルノミコト)に授けられ、命が炎に巻かれようとした時に、この剣で草を薙ぎ払って活路を開いた、という伝承から、その名称を「草薙剣」と変えました。
が、その前は、天叢雲剣と呼ばれ、もともとは下界にあったものでした。
どこにあったか…というと。
八岐大蛇の体内です。
素戔嗚尊が八岐大蛇の尾のあたりから取り出し、天照大神に献上したとされています。
(まあ、こちらの絵は、ちょっと、神話を無視している要素がいろいろあるのでアレですが………参考に。まだこの段階では叢雲はオロチの中なので、スサさんの手にあるのは別の剣ですよ)
下界にあった剣が一旦、高天原へと昇り、再び下界へ下りてきた。
天界を追放された素戔嗚尊がオロチを倒し、そこから取り出した剣が、今度は逆に天界へ昇る。
素戔嗚尊は後に根の国の王となるわけですが、天界へ献上された叢雲は、下界へもう一度下りてきて、草薙となり、皇室に伝わる神器の一つとして、建国神話に組み入れられました。
この動きが、私には、なんだかすごくシンボリックなものに感じられるんですね~。
(といっても………熱田神宮は、私、ちょっと苦手なところだったりするんですけどね…なんせあそこ、何回行っても、本殿の向きが記憶と違うんだもん…(^_^;)
もう一つ言うと、こちらの絵
ここに描いてる剣も、叢雲ではありません。
私の中では、ハッキリした、名前のある剣です。
今ここには書かないけど。
今回、草薙を描くにあたっては、実のところ、剣そのもののデザインとかも、頭の中にはありました。
といっても、その時点では布に包んであって、柄の一部しか見えない感じ。
鞘はなさそうでした。
実際に描く段階になったら、一部は見えてた柄も画面に入って来なくて。
「いやあ~、これって、草薙剣っていうよりは、ヤマトタケルさんの絵みたいじゃね?」
なんて思いつつ進めました。
が…
ヤマトタケルさんをこんな感じに描くことになろうとは…といった感慨も、私にはありまして。
長い確執(って、そんなのもちろん、私側の一方通行な変な感覚ですけど…)の末の、この相。
へえ~
なんて、他人事のように感じつつの作画でございました。