傘の下
影響力のある人の傘に入る。
「傘下に入る」っていう、ズバリの言葉があるけれど。
私が思う最大メリットは、
己の身分が曖昧・うやむやでも格好ついてしまう
ことだ。
自分は一体何者で、何をしていて、何をしたいのか。
それを明らかにしないままでいても、そのままでいられてしまう。
同じ大きな傘の元に集まってきている人達は、傘と、その傘の色をまとった「その人」を見る。
だから、傘の色を抜いた後に何色が残り、どんなカタチをしてるのか…ってことを気にする人は少ない。
大きな傘の色は、そこに集う人みんなの色を、少しずつ、染めている。
その共通認識があれば、もともとの色がどんなだったかということを、大して気にしなくても違和感がない。
傘の色を抜いた時。
自分は、何色で、どんなカタチをしているのか。
傘の柄を強く握りしめようとしているのは、その傘をどけたら何が残るのかを、直視するのを避けたいから?
この世界には、傘は、無数にある。
けれど、自分自身の傘は、自分で組み立てるしかない。
自分の傘がなければ、そこに誰かを入れることもできない。