旧<緋呂の異界絵師通信>

2018.05 本拠地を新天地へ移しました

2015年上半期 制作面でのまとめは「自力コントロール不可能領域」

2015年半期の区切りが近づいてきました。

 

今日は大祓と共に、半期のまとめミーティングに参加。

下半期へ向けて、何をやっていくのか、という話をしました。

 

 

今、私の制作は陶芸品を主とした立体造形に意識が向いています。

同じ創作でも、平面作品を描くのとは、微妙に、使う感覚が違います。

 

陶器にも、絵付けなど「描く」要素はありますが、まず造形ありき…です。

そして、炎や煙、釉薬といった、自分の自由にならない要素が作品の精度を左右するという、絵とは決定的に違う面もあります。

 

絵も、気温や湿度、画材の性質など、自分のコントロールが及ばない部分はありますが、陶芸はその比重が絵の比ではありません。

窯という生き物の腹の中で起こる化学変化が、出来具合の決定打を放ちます。

 

失敗した時も、絵の比ではありません。

絵は、極端に言えば、どうにかカバーできる可能性が高いです。

特に私は、滅多なことでは絵を捨てない人間なので、そう簡単に「これはダメ」と判定しません。

しかし、陶器は、窯を開けた瞬間に、手の施しようがない失敗を見ることになる。

 

自分では制御しきれないところに成否をゆだねるしかない。

 

そんなスリルが、あります。

 

 

一方、小原工芸和紙のように、紙そのものを作品として積み上げていくものもある。

あれは、絵とは違う意味で、それなりに修正が可能な技法かと感じます。

けれど、仕上がりは、筆やペンで描く絵とは全く違って、自然の要素に結果をゆだねる要素が大きい技法でもあると思います。

素材を煮出したり、色抜きしたり、染めたり、抽出したり…という、「紙漉き」以前の工程に出来具合を左右する要素が大きく、そこでコケていると、漉いても思う絵にはならない。

 

 

工芸品って、不思議だな、と思います。

 

私がおそらく9割以上手を出さないであろう工芸の一つに、漆があります。

かぶれるかどうかはまだハッキリしませんが、確率が高いので、手を出そうとは思いません。

 

ただ、漆工芸の技法の中には、別の素材を用いて似たようなものを作ることができるものがあり、私はそれには大いに興味と可能性を感じています。

もちろん、私の場合はその技法一点で決めるのではなくて、絵付けや他の素材との複合で違うモノを作りたいのですけどね

 

 

五大エレメント…木火土金水のうち、残る一つは「金」でした。

最近、加工した金属素材を使った、比較的簡単に変形できる技法の情報が、向こうからやってきた…ということがありました。

すぐに実物を見に出かけ、実際に制作している方に話も聞いてきました。

 

技法そのものには可能性を感じましたが…少々気になったのが、素材の硬度。

それを補う方法があって、みなさんそれを施しているのですが。

どうかなあ…。

実際に、自分のデザインでモノを一度作ってみないと、自分の作品に転用できるかどうかは、定かでないです。

ただ、その素材を使わずに、他の金属素材を使うっていう手もあるな…ということで、保留棚に置いておきました。

 

でも、あと「金」がそれなりの自由度で使えるようになれば、5Elementsが持ち駒になるっていうので、あきらめたくはないですね。

もちろん、日本古来の金箔というのもありますけどね。

ワイヤーという手段もあるし。

 

 

…というのが、2015年上半期の、制作面でのまとめ。

 

私の一番の課題は、自分自身のメンタル的なことです。

 

ヤル気の波。

落ち着かず、あちこちに興味が飛ぶこと。

踏ん張りが利きにくいこと。

 

そうした弱点の支えとなるのは、やっぱり、人。

 

少しずつ、少しずつ、かみ合わせ位置や深さ、角度を変えながら、お互いに回転させ合う人。

 

一回りした時、距離が離れて、二度と隣り合うことがない歯車もあるし。

ずっと、一定に作用しあう歯車もある。

 

でも、どれ一つ欠けても、動きは止まる。

 

 

明日から始まる下半期は、どんな景色になるでしょうか。

楽しみです。

 

 

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